プールの価値を再発見!競合ジム・フィットネスと差別化する空間づくり
2025.12.08
24時間営業のジムや特定の目的に特化したスタジオが増える中、総合フィットネスジムの運営は新たな局面を迎えています。特に、光熱費や維持費といった運営コストがかかるプールは、経営の負担と感じられることもあるでしょう。
ですが、そのプールこそが、他の施設にはない強力な武器になるかもしれません。
この記事では、プールの持つ独自の価値を最大限に活かし、競合先と差をつける戦略を紹介します。

プール付きフィットネスジムの現状
プール運営の経済的負担(光熱費、維持費)や、24時間営業のジムなど競合の増加による立ち位置の変化について説明します。
維持コストの高さが経営を圧迫
プールの運営には、想像以上にランニングコストがかかります。水温を一定に保つための加温や冷却、水質を維持するための薬剤管理、そして清掃や点検などの作業が日々発生するためです。水道光熱費だけでも固定費として大きく、光熱費の高騰が直撃する施設も少なくありません。
また、安全を守るために監視員を常駐させたり、指導員を育成・確保したりと、人件費もかかります。老朽化による設備の更新も避けられず、結果としてプールは「魅力とコストが表裏一体」の存在とも捉えられます。
ただし、そうしたコストをかけてでも維持する価値がプールにはあります。設備にかかるコストを単なる支出ではなく、他施設にはない「投資対象」としてどう活かすかが、運営のポイントです。
競合の多様化とニーズの変化
昨今、24時間営業のジムや、ピラティス専門のスタジオなど、特定の目的に合わせた施設が増えています。「自分のペースで通いたい」「短時間で効率よく」といった、利用者のニーズが多様化し、マシントレーニングやスタジオレッスンなど、プール以外の選択肢に目が向く機会も増えてきたのかもしれません。
プールを持たない施設の人気が大きくなっていく中でこそ、プールという空間が持つ特別な価値を改めて見つめ直すことが大切です。その魅力を最大限に発信して他施設との差別化を図りましょう。
他のジムにはない!プールならではの大きな価値
ジムエリアやスタジオにはない、プールだからこそ提供できる独自のメリットを紹介します。
全年齢層が利用できる間口の広さ
プールの特徴の一つは、年齢や体力に関係なく誰でも利用できることです。子どものスイミングレッスンから、体力づくりを目指す中高年、リハビリ目的のシニアまで、幅広い層がひとつの空間を共有できます。浮力によって体が軽く感じられるため、体力に自信がない方でも無理なく運動できることが魅力です。
また、親子で通えるスクールや夫婦での健康維持プログラムなど、コミュニケーションの場としても価値があります。世代を超えて、楽しみながら健康づくりができることがプールの強みです。
身体への負担が少ない水中運動の効果
水中では水の浮力により体重が軽く感じられます。例えば肩まで水に浸かることで、その体重は10分の1程度に感じられるといわれています。そのため、特に陸上運動で関節に不安を感じる方やリハビリ中の方には、水中は運動するのにおすすめの環境といえるでしょう。
また、水の抵抗によって少しの運動でも全身にまんべんなく負荷をかけることができるため、短時間でも効率的なトレーニングが行えます。
これらのことから、プールは低負荷・高効果の運動ができる理想的な場所といえるでしょう。
心肺機能の向上とリラクゼーション
ただ水中にいるだけでも体に水圧がかかるため、意識的な呼吸と合わせることで、自然と心肺機能の強化につながります。
また、水に浮かぶこと自体がもたらすリラックス効果も、見逃せない利点です。水に身を委ねる感覚は、利用者の日々のストレスや緊張を緩和し、心身をほぐす助けとなります。
全身にかかる水圧には血流を促す働きもあり、むくみや冷えの改善、リラクゼーション効果も期待できます。
運動による効率的な効果と、癒やしによるリフレッシュ。この両方を提供できる空間は、他の設備にはない、プール独自の強みです。
【差別化戦略①】プログラムの充実で多様なニーズに対応
プールを「泳ぐ場所」から「体を動かす楽しみを共有する場所」へ。多様なプログラムが新たな利用層を呼び込みます。
スイミングスクールの開催
スイミングスクールは、安定した集客基盤となり得ます。
子ども向けの習い事としてのスイミングは、根強い人気があるため、日中のプール稼働率を高めます。
また、過去に水泳ブームを経験した50代以上の方など、大人になってから泳ぎを学び直したいという需要も存在しています。
こうした方々に向けて、基礎から学べるスイミングスクールを提供することで、安定的な集客ができるでしょう。
アクアビクスや水中ウォーキング
集客の核となる定番プログラムの強化も重要です。
音楽に合わせて水中で体を動かす「アクアビクス」は、楽しみながら運動できるため、集団でのコミュニティ形成を促し、会員の継続率向上につながります。
また、水中での正しい歩き方を指導する「水中ウォーキング」クラスは、特に健康維持を目的とする中高年層の受け皿として、安定したニーズが見込めるプログラムです。
アクアバイク
アクアバイクは付加価値の高いプログラムとして機能します。
水中に設置した専用の自転車をこぐ運動は、水の抵抗を利用するため、陸上のバイク運動よりも高い運動効果が期待できる点が強みです。
浮力により膝などへの負担を抑えながら下半身を鍛えられるため、効率よく運動したいという層や、新しいプログラムを求める層への強力なアピールポイントとなるでしょう。
【差別化戦略②】健康寿命を延ばすメディカルフィットネス
次に、高齢化社会のニーズに応える、医療やリハビリテーションと連携したプールの活用法を提案します。
メディカルフィットネスとは何か?
医師や理学療法士などの専門家が関与し、個々の体調に合わせて運動を行う方法です。プールを活用したプログラムでは、浮力や水圧を利用して安全に筋肉や関節を動かせます。特に中高年層では「運動したいけれどケガが心配」という声が多いこともあり、医療と連携した安心感が支持されています。
プールで行うリハビリテーションサポート
腰や膝、肩などの関節に痛みがある方や怪我のリハビリ中の方、またシニア層の体力づくりをサポートする場として、プールは他の設備では体験できない独自の価値を提供できます。
関節への負担が少ないという特性を最大限に活かし安全に運動できるプログラムを導入することは、他施設との明確な差別化ポイント。中高年層が無理なく健康維持に取り組める専門的な環境を提供するという視点は、これからの施設運営において重要です。
【差別化戦略③】運動+癒やしによる付加価値の創出
プールの周辺設備を充実させ、トレーニング後のリラクゼーション空間としての価値を高めることも差別化にとって効果的です。
温浴設備(お風呂・スパ)の併設
運動でかいた汗をその場で流せるお風呂やスパは、疲労回復を助けることができ、そういった設備が整備されていることはその施設に通う理由にも繋がります。プールの運動と温浴の癒しをひと続きで体験できると、利用満足度が高まり、施設への滞在時間も自然と伸びるでしょう。健康づくりとリラックスを同じ場所で完結できる点は、来館の動機づけとして有効です。
サウナの導入と活用
近頃のサウナブームを取り入れるのも、ひとつの工夫かもしれません。
特に若い世代の方々にとって、サウナは施設を訪れる良いきっかけになるでしょう。温浴設備と合わせてサウナ環境を整えることで、運動後の新しいリフレッシュ方法を提供できます。
プールの価値を再定義し、選ばれるフィットネスジムへ
プール付きフィットネスジムは、維持コストの高さや競合の増加といった課題に直面しています。しかし、プールには「全年齢層が利用できる」「身体への負担を抑え運動ができる」といった、他の設備にはない大きな価値があるのも事実。
その価値を活かし、「ただ泳ぐ場所」から「多彩なプログラムを体験できる場所」へと進化させることが重要です。
さらに、健康寿命への関心に応えるメディカルフィットネスの導入や、お風呂・サウナといった癒しの設備を充実させること。これらが、他のジムとの明確な差別化につながるでしょう。プールの可能性を見直し、利用者にとってなくてはならない特別な場所づくりを始めてみませんか。